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わが国の病院や施設では、化粧は歓迎されない風潮があるように思えます。ある時、南仏の老人ホーム(フランスでは年金者の家)を取材する機会がありましたが、そこで私は大きなショックをうけました。
それは、文化の違いがあるとはいえ、入居者の一日のスタートの最初の行動がお化粧であったことです。たとえ車椅子の生活であろうとも、外形を美しく整えて初めてレストランや自室での朝食が始まる。レストラン、バー、遊戯室、美容室はもちろんのこと、外の環境とまったく変わらない生活がそこにありました。
年金者の家では、寝たきりの老人など、どの部屋にも見あたりません。ベッドはどの部屋も空っぽです。自分で化粧できない人は、介護士さんがしてくれたり、美容室でしてくれます。また行きたいところにも自由に連れていってもらえます。私が訪れた時期は、ちょうどカンヌ映画祭の時期でもあり、希望者は連れていってもらったようです。広い庭で、髪をきれいにカールして口紅をつけ、スーツにパンプスの姿で杖をつき、若い介護士さんにサポートされているご婦人に見とれていると「ボンジュール、マダム」と笑顔とともに、それはそれは素敵な声で話しかけてくれたその方は、なんと93歳でした!
外観のとても美しい年金者の家。フランスではこのようなメゾンが至る所にあります。
入居者の皆さんと楽しく談話中。旅行にご一緒させていただいた泉敏夫さん(写真左)もご一緒です。
モリーン入居者の一室。広々とした部屋に好きな家具や写真をおき、自由に過ごしています。
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